物語文はこれさえわかれば簡単(その2)
くどいようだが,心が行動に影響するのであって行動が心に影響するわけじゃない
このお話の続き.
「悲しい」と言いながら泣いている女の子がいるという状況を想像してみましょう.前回の記事でも書いたように,ここから因果関係を取り出すことが物語文の読解では必要になります.物語文の理解に限らず,相関関係から因果を推定するというのはどんな仕事をしていても必要です.
「悲しい」ことと「泣く」こと間の因果関係には二通りの可能性があります.一つ目は,「悲しいから泣く」説,二つ目は「泣くから悲しくなるのだ」説です.「悲しい(原因)から泣く(結果)」のほうが一般的な解釈です.「泣く(原因)から悲しくなる(結果)」という解釈をするのはよっぽどのへそ曲がりです.
勿論,「泣くから悲しくなる」ということ(行動が気持ちに影響すること)が現実世界で起こりうることは否定しません.いちばん有名なのは「吊り橋効果」です.吊り橋の上で女性と出会うとドキドキしてしまい,その結果そのドキドキをその女性への好意と勘違いしてしまい,その女性を好きになってしまうというホンマでっか!?TVでよく見るあれです(見たこと無いけど).
吊り橋効果は,行動(ドキドキ)が本人の心(好き)に影響する代表例ですが,中学入試ではそんなめんどくさい因果関係はまず出てきません.「好き」と「ドキドキ」が出てきたら,「好きだからドキドキしている」と解釈すべきなのです.
ここまで理解すれば,「登場人物の行動の理由を問う問題」と「主人公の気持ちの理由を問う問題」は全く異なることを尋ねられていることがわかると思います
物語文はこれさえわかれば簡単(その3)に続く…
出張帰りの新幹線でこれを書いてるんですが,東京駅の駅弁といえば利休の牛タン弁当も豆狸のお稲荷さんもいいけどやっぱりガパオだよねという人はクリック